法律主義と条例

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 いままで、法律や政令といったものと罪刑法定主義の関係を説明してきましたが、皆さんにとって馴染み深いのはこうした規範よりも、地方公共団体が定める「条例」かもしれません。多くの人は、迷惑行為防止条例や青少年保護育成条例などというキーワードをニュースで一度は聞いたことがあると思います。条例は各自治体により定められるものでかなりの数があります。では、法律主義との関係で、条例により罰則規定を設けることができるのかどうか考えてみましょう。

 まず、地方自治法には、「普通地方公共団体は法令に違反しない限りにおいて条例を制定できる」とされ、条例中に条例に違反した者に対し、2年以下の懲役若しくは禁錮、100万円以下の罰金、拘留、科料若しくは没収の刑を科する旨の規定を設けることができるとされています。このように法律に違反しない限りで条例において罰則を設けることも可能とされていますが、法律主義には抵触しないのでしょうか。先ほど説明したように、法律主義とは国会で犯罪とその刑罰内容を定めるもので、国会に限られるのは、民主的なコントロールを及ぼそうとする点にあります。この点、地方公共団体の条例とは住民の選挙により選出された地方議会議員により構成された議会において制定されるものですので、実質的に民主的なコントロールが及んでいると考えらえます。いわば小さな国会のようなものです。また、地方の実情を知り尽くしている条例の方が場合によっては国会よりも適切に規則の制定ができるかもしれません。このような理由から国会の定めた法律に違反しない限りで、条例をもって法令により授権されたことを定めても法律主義に反することはありません。

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